七色

感じることを怠けないように。

 さよならの前の蜜月

千葉の祖母宅へ。近所のお寿司屋さんですごく美味しいコース(初めて見る、廻る大皿のおつくり。生きたエビは躍り食いか焼いてもらうか選べる。焼き立ての本ししゃもに、その場で捌いてくれる蟹は四人で一杯。今まで食べた蟹の中でいちばん美味しかったー。みそは酔う。それからお寿司。しまあじにあぶりトロ秋刀魚美味しかった、、、)をご馳走になる。その後、庭の花壇にお花を植えたり、お墓参りに行ったり、結婚式の写真を渡したり。

母が危惧するように、祖母はいろんなことが少しずつわからなくなってるみたいで、ひどく不安そうだった。祖母にとってどうするのがいちばんいいのかは、祖母自身も含めてみんな知ってる。だけど、それはできないんだそう。じゃあどうするのが次善の策なのか? なんて、わからない。ひとが老いて弱っていくことは、周りの人間をどうしようもなく心細い気持ちにさせて、彼や彼女の中に強い反発や否定や抵抗を引き起こす。それはひどく人間的な恐怖の克服の仕方で、同時にとてもかなしい。優先順位をつけるのは仕方ないけど、それを見ないふりして、自分の中の愛情や犠牲に依存してしまう、そのみにくい弱さも……生活するには必要なものなんだろうなあ。まとまらない。わたしがああいう状況に対して知ってる対処法は、とりあえず自分の気持ちはいったんよそに置いて、現実的に自分に何ができて何ができないのかを明確にし、それを関係者間で照らし合わす、ということだけだけれど、状況がこじれるのは大体感情的なものが原因なので、全く役に立たない。

わたしもいざ自分の親の老いに向き合ったら、あんなふうになるんだろうか? あーあ、と思って、ちょっと舌打ちしたり疲れたりするだけじゃないんだろうか。そう思うと、それはそれで心細いことかもしれない。