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- 作者: 上橋菜穂子,二木真希子
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 1996/07/11
- メディア: 単行本
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話を貫く世界観……価値観??は、なんとなく蟲師の世界と似てる。こちらの世界の人々や生き物も、向こうの世界の生き物も、それぞれが、それぞれの命を必死に生きているだけ。そこに命のやり取りがあったとしても、どちらが悪いなんてきれいに割り切れない。
ジンたちがとってきた鳥が、むぞうさに地面におかれている。そのぐったりとした死骸をみて、チャグムは、ふと、ぞくりとからだの底からふるえがはしるのをおぼえた。
チャグムの手をとって脈をみていたタンダが、チャグムをみ、その視線のさきをみた。
「……食う、食われる。のがれる、とらえられる。」
つぶやいて、タンダはチャグムをみた。
「当事者にとっては、この世でもっともたいせつなことなのに、なんとまあ、あっけなく、ありふれたことか……。な。」
チャグムの目に涙がもりあがった。バルサの手がチャグムの肩をだいた。バルサのかすれた声が、ささやいた。
「おまえがたすかって、ほんとうによかった。───まにあって、ほんとうに、よかった。」
今まで数え切れないほどの命を喰らってきて、自分がいつか何かに喰らわれるかも?なんてちらりとも考えつかない、現代人はなんて不自然な生き物なんだろうな。
もう一箇所引用。
子どもの頃に、自分ではどうしようもないことがあって、そのために人生をねじ曲げられた、と思うことは、この物語の主人公のバルサには遠く及ばないけど、わたしにもある。そのために、自分の身近の大切なひとをひどく傷つけてしまうのでは?と恐怖を覚えることも、やっぱりある。
「十六のときジグロに、わかれようっていったんだ。わたしはもう、自分の身は自分でまもれる。追手にまけて死んだら死んだで、それがわたしの人生だって。もうジグロにはじゅうぶんたすけてもらった。もういいから、他人にもどって、どうか自分の一生を生きてくれって、ね」
チャグムは、口の中でつぶやいた。
「ジグロは、なんて?」
「いいかげんに、人生を勘定するのは、やめようぜ、っていわれたよ。不幸がいくら、幸福がいくらあった。あのとき、どえらい借金をおれにしちまった。……そんなふうに考えるのはやめようぜ。金勘定するように、すぎてきた日々を勘定したらむなしいだけだ。おれは、おまえとこうしてくらしてるのが、きらいじゃない。それだけなんだって、ね。」
心にしみたー。どうしたって割り切れないことを割り切れないって認めて、こうしてる自分が嫌いじゃないって、少なくともいつかそう思えるようには、きちんと生きてかなきゃいけないんだな。
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