七色

感じることを怠けないように。

荻原さんの新シリーズ1作目。現代日本を舞台にした和製ファンタジー(なのかな)。

荻原さんの作品は、主人公の少女が、平凡に見えて、実は生まれつきなんらかの能力、身分を持っていて、そのせいで良かれ悪しかれ色んなひとが彼女の周りに集まってくる、という設定の場合が多い。このお話もそうだった。よくあるパターンだし、ヒロインに上手く感情移入できれば読んでて楽しいんだろうけど、個人的にその手のお姫さま設定にあまりこころを惹かれないこともあって、……まあ、ちょっと、鼻につく感じは、した。好きずきですけど。(最後の舞のシーンで、めろっとするか、ケッと思うかの違いだろうな。)(相良父子もいかにもだし。) 文章は読みやすいです。前半は冗長だけど、後半の展開は速くて読ませる(急ともいえるか)。和宮くんの正体あたりは読んでて引き込まれた。山の描写はすてき。あと装丁もすてき。本屋で手に取ってみたのは、装丁の効果も大きい。

ただ、あちこち設定が脆そうで…大丈夫なのかなって感じた。山伏やパソコン関連だけでもずいぶん突っ込みどころがありそう。機械化された現代日本の中に超常の力が入り込んでくるなら、その対比はもっと明確に描かないと、うまく伝わらないんじゃないかな。というより、明確に描ける部分はしっかりリアルに描いておかないと、超常現象の部分自体が生きてこない。そのラインが曖昧だと、こういう話は全体としても曖昧な印象になってしまう気がする。

次巻からは東京を舞台にした学園ものっぽい。荻原作品の学園って、西の善き魔女のときものすごかったから…、どうなるんだろう。楽しみなようなこわいような。続きも予約した。