七色

感じることを怠けないように。

ゆれる」(映画)


レイトショーで観てきた。すごい良かった。本当に何が起こったのか、何をしたのか、そんなこと当事者だって本人だってわからない。判断や感情はゆれ動いて、まったく逆のかたちをもって現れる。その不確かさ、曖昧さ、もろさ、強さ。それらがすごく恐ろしくて、同時に愛しかった。ひとがひとり死んだという事実。ゆれうごく幾つもの真実。ひとの心の中の中なんてわからない。真逆の発言のどっちもほんとうなんだ。


兄弟とか姉妹って、ほんとなんなんだろうね。絶対に切れない。…映画のエンディングがすごく良くて、ああここで終わるのかって思ったらすごいぐっときて、だけどそんなに泣きもしないで映画館を出て、友だちと別れて電車に乗って、ピロウズ訊きながら窓の外眺めてたら、ぐわって目の奧が熱くなった。電車を降りて駅から薄暗い道を歩いて、そしたら夜中なのに女子校の敷地内で蝉がやかましく鳴いてて、それを聞いてたら不意に泣けてしまった。具体的な思い出じゃない、過去や未来の感情のかけらみたいなので、自分の中がぐるぐるした。


オダジョは存在自体がなんだかうそくさいので(顔が可愛いからかしら)、こういう映画に出てくれてるとホッとする。これオダジョじゃなかったら耐えられなかったよ。みんながみじめで、ばかで、上手くいかなくて、逃げ場はなくて、だけど投げやりじゃなく、誰かを大事に想ってたんだ。……あー、ほんと良かったな。二度は観たくないけど。